
日本ではGW真っ只中の4月末〜5月頭にかけて、毎年、アメリカオーランドのDisney World敷地内にあるESPN Wide World of Sportsにて、世界大会が行われています。
実は、この大会、3つの異なる世界大会が行われているのです。
それぞれ、運営団体も異なり、ルールも微妙に違っています。
通して見てみると、同じチアリーディングでも演技のスタイルが異なり、それぞれの大会ごとに特徴があります。
ここでは、3つの世界大会について、解説していきたいと思います。
ICU World Cheerleading Championships

ICU(International Cheer Union)が主催している世界大会。
それぞれの部門に各国から1チームが代表として参加する国別対抗戦形式の世界大会で、2009年から開催されています。
チアリーディング部門の演技は、ELITEとPREMIREの2種類のレベルに別れており、ELITEは3段ピラミッドおよびスタンツでの宙返り技が禁止のレベル、PREMIREはこれらの技が実施可能なレベルです。
後ほど、説明するクラブチームのレベル分けで言うと、ELITE=レベル5、PREMIRE=レベル6とほぼ同等となります。
演技構成は、はじめに「CHEERパート」とよばれるコールパートがあるのが特徴的です。
様々な手具を使い、観客との掛け合いを大事にするコールパートは、各国のオリジナルティが出て、チアらしい特徴的なパートです。
国ごとに、定番化したコールがあり、観客も大盛り上がりです!
コールパートの後は2分半の音楽パート。
こちらはチアのスキル要素がたくさん組み込まれた迫力のある演技です。
特に、一度にたくさんの基が上がるシンクロ性の高いスタンツシーンとピラミッドシーンは圧巻です!
IASF Cheer Worlds

IASF(International All Star Federation)が主催している世界大会。
クラブチームの世界大会です。
世界各国から推薦されたクラブチームが競い合う世界大会で、サッカーのW杯の様な大会です。
クラブチームで戦い合うため、同じ国から複数チームが出場することもあります。
2003年から開催され、3つの世界大会の中で一番歴史が長いです。
この大会は「世界大会」と「全米選手権」の2つの大会が同時開催されています。
元々は、USASF(U.S. All Star Federation)が主催する全米のクラブチームNo 1を決めるための大会、という目的で開催されたのですが、そこに世界各国からも参加表明があり、今の形となりました。
クラブチームのチアリーディング部門ルールはかなり細かく別れており、スタンツ・タンブリングの難度によってレベル1〜6まで設定されています。
この世界大会では、この中のレベル5と6のみが対象となっています。
尚、全米選手権ではレベル5のみが対象です。
ICU世界大会では、最高峰レベルの「PREMIRE(=レベル6)」が一番盛り上がるのですが、全米のクラブチームでは、レベル5が大盛況です!
レベル6は選手が積み重なって3段ピラミッドになる力技が見どころですが、レベル5は3段ピラミッドができない分、「積み重ね」ではなく「スピード感」が特徴的で、縦にも横にもくるくる回転しながら次々に展開する技の変化が見どころです。
演技構成は「All Music」、つまり音楽パートのみとなります。
今年から一部のインターナショナル部門でコールパートを含む演技構成の部門ができましたが、大部分がコールパート無しの演技構成です。
クラブチームの演技は「応援スタイル」という特色はあまりなく、チアリーディングのスキル要素を高い難度と高い完成度で実施することを競い合う競技スタイルです。
体操競技に近い感じですが、「チームスポーツ」としてシンクロで技を実施することが求められています。
The Summit

上記2つの世界大会の翌週に行われるのがこちらの大会です。
全米No1規模のチアブランドVarsityが主催している大会です。
ICU、IASFはいずれも、世界大会を普及していくためのルール作りや大会主催をメインに活動している団体ですが、Varsityはチアのブランド会社です。
The Summitは元々、USASFが主催するWorlds(全米選手権)に設定されない部門の全米No1を決定するための大会として、2013年にVarisityによって開催されました。
そして、こちらもWorlds同様に世界各国からの参加希望に答える形で、2018年からインターナショナル部門を大会内に設置しました。
こちらの大会では、Worldsでは実施されないレベル4以下の部門や年齢編成(Worldsは14歳以上から参加可)が設定されています。
演技のスタイルはIASF Worldsと同様、採点方法も同じです。
実施可能な技の難度が限定されているとはいえ、スピード感のある展開の早い演技はかなり見応えがあります!
そして、ジュニア世代のポテンシャルの高さに、今後のチアリーディング競技のさらなる進化を期待せずにはいられません!
この大会で何と言っても特徴的なのは、本場アメリカのチアママパワーです!!
まだまだ幼いキッズチアリーダーが多いので、チアママの熱気あふれる観客席はかなりアツいです!
そして、自分のこどものチームが終わると、さっさといなくなってしまいます(^^;
チアリーディングの世界大会と言っても、主催団体も様々で、演技スタイルや採点方法もそれぞれに特色があります。
大会ごとにカラーがあり、その違いを感じながら、チアリーディングという競技の奥深さを探求してみるのも楽しい鑑賞方法だと思います!